“水が欲しくなるほど”濃厚で、いちど食べたら忘れられない!と大評判のナチュリノのジェラート。そのコクのある美味しさの秘密は、ふんわり甘くて美味しい小松牧場の牛乳だけを使っているからです。
ナチュリノのジェラートづくりの毎日は、小松牧場へ採れたての新鮮な牛乳を取りに行くことから始まります。早朝6時、名取から車を走らせること40分、小松牧場へ向かいました。


奥羽山脈の雄大な山並みを望む宮城県加美郡色麻町(かみぐんしかままち)。のどかな田園風景に囲まれた小松牧場の牛舎では、牛たちがのんびりと暮らしています。
牧場を訪れてまず目にするのは、見渡す限り緑色のトウモロコシ畑。その面積はなんと、東京ドームふたつ分という広さ。この広大な畑で栽培されているトウモロコシは人間の口に入るわけではありません。実は、牛たちのごちそうである、穀物飼料(こくもつしりょう)となる作物だったのです。
自分たちの土地でとれた安全な作物を牛たちに食べさせたい。飼料づくりへのこだわりから、牧場主の小松さんは、地元で栽培された牧草やブランド米ひとめぼれの稲わらなど、安心で安全な宮城の作物を材料として牛たちの粗飼料(そしりょう)をつくっていました。一方、値の高い穀物飼料については輸入品に頼らざるを得ない状況でしたが、今年からは牧草地にトウモロコシを植えて、自家栽培の穀物飼料づくりもスタートしたのでした。

小松さんに案内されて牛舎に足を踏み入れると、最初に気が付いたのがあたり一面に漂う酸っぱい匂い。これは酢酸発酵(さくさんはっこう)した飼料から放たれる匂いで、牛たちの食欲をそそる“美味しい匂い”でもあるそうです。先ほど見たトウモロコシやひとめぼれの稲わらも、刈り取った後に乳酸菌を入れサイロのなかで2ヶ月ほど熟成発酵させます。小松さんいわく、「手間ひまかけてつくる、牛用の“漬け物”みたいなもの」なのだそう。酢酸発酵させた飼料を牛に与えるのは、牛の胃袋で消化を助ける微生物がすみやすい環境をつくることが目的。つまり、腸内環境を整えるため、人間がヨーグルトを食べるのと同じことだったのです。牛たちの場合、牛が食べた草を微生物が分解してタンパク質や脂肪に変える働きをするため、乳脂肪の高い濃厚な牛乳を作るうえで“漬け物”づくりは欠かせない作業となります。


「牛の顔に血管が浮き出ているでしょ。これは、酢酸発酵が進んだ飼料を食べて血流がよくなっているためで、牛が健康であることの証でもあるんだ」と語る小松さん。
そもそも牛は草食動物であるため、稲わらや牧草など粗い繊維を多く含む飼料が主食となります。この主食である稲わらや牧草を中心として、ごちそうとなるトウモロコシなどの穀物を適度に混ぜ合わせた飼料が、牛たちにとって美味しくて健康的な食事。全ての飼料は分析センターで栄養分析を行い、人間の食事以上に緻密な栄養管理が行われています。こうして配合された栄養バランスのよい飼料により、乳脂肪レベルの高い濃厚でコクのある牛乳がつくられているのです。

そもそも牛乳は仔牛たちを育てるための母乳。母牛は栄養がある飼料をモリモリと食べ、命のもととなる血液をどんどんつくり、その血液をもとに乳腺細胞(にゅうせんさいぼう)のはたらきで牛乳がつくり出されています。つまり、牛乳をいただくことは、母牛の血液をいただくことでもあるわけです。
血液も牛乳も、そのほとんどは水分でできています。大切な牛たちに健康で長生きしてもらい、人の身体にも優しい牛乳をつくるために、小松さんが取り組んでいるのが水へのこだわりです。あたりに民家がほとんどない小松牧場の土地は清涼な地下水の宝庫。もともと10mの深さがあった井戸をさらに30mまで掘り下げ、奥羽山脈から30年かけて辿り着く穢れのない水を岩盤の下から汲み上げています。さらにその水を、沖縄県与那国島(おきなわけんよなぐにじま)でとれる化石珊瑚で濾過して良質なミネラルをたっぷり含ませた、人間の私たちが飲みたいくらい、贅沢で良質な水を牛たちに与えています。


小松さんがこれほど牛たちへ愛情を注ぐようになったのは、5年ほど前から。牛舎に遊びに来ていた仲良しの鳩が死んでから餌を食べなくなった牛をみて、牛にも魂の交流があることにはじめて気付き、心に大きな衝撃を受けたといいます。それ以来、「牛たちが愛おしくてしかたがない」という小松さん、牛たちが少しでも心地良く過ごせるよう、牛舎ではいつも癒やしの音楽を流しています。これは牛の心の波長を整える音楽で、わざわざ作曲家を招いて小松牧場の牛たちのために作曲した環境音楽なのだそう。こうして小松さんが牛たちに注ぐ愛情は、牛乳を通してナチュリノへの想いにも繋がっています。
「縁あってこの牧場に生まれた牛たちだから、できるだけ幸せにしてあげたい。そんな風に考えるようになった後にナチュリノさんとの出会いがあり、東北の地の恵みを活かして地元の名取から復興を目指すという想いに心を打たれました。私たちが愛情込めて育てた牛の美味しい牛乳が、少しでもそのお役に立てれば、これほど嬉しいことはないのです」
冷たいはずのナチュリノのジェラートなのに、食べるとなぜか心がぽっと温かくなるのは、小松さんのような生産者さんたちの優しい想いが込められているからなのです。


色麻町小松牧場さんで愛情いっぱいに育てられた牛から採乳方式で集められた生乳を使用